さて奈良二日目の午後は、西の京にある薬師寺へ。
近鉄奈良駅にて乗車。大和西大寺駅にて近鉄橿原線に乗り換え3つ目が薬師寺前。
近いものです。
途中車中から平城宮跡の朱雀門などを眺めながら、
いにしえの平城京に思いを馳せての移動は
何かと想像を掻き立てられ楽しいものでした。
いよいよ薬師寺到着。
今春に続き、夫が再度じっくり国宝たちに触れてみたいとの希望で今回も訪問。
薬師三尊、西塔、聖観音等々、背景の歴史を脳裏に浮かべながらゆっくり鑑賞。
「あおによし」の如くいま再興された数々の建造物は、やはり美しい~!
写真は西塔ですが、現在修復中の東塔の完成が楽しみです。
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薬師寺を後に向かった先は秋篠寺。
薬師寺駅から再び近鉄で大和西大寺駅で下車。そこからバスで6分ほど。
車が行き交うことも出来ないほどの細い道を通り、秋篠寺前で下車。
ふと見ると秋篠町と書かれた標識があったので、この辺は秋篠町というらしい。
それまでは奈良の都市伽藍ばかり目にしていたので、
この地にひっそりと佇む静寂さを秘めた様子は別世界のようでした。
東門から入りましたが、もはや大寺院の面影はありません。
ところが門から足を踏み入れると驚きました。
この時期であっても、美しく苔むした境内は雑木林で覆われ、
しっとりとした侘びの世界に突入した錯覚に~!
かって隆盛を極めた伽藍は、兵火などの悲惨な出来事に遭い、
僅かに講堂を残すのみに焼失。
更にその後の復興造営も空しく、
廃仏毀釈により自然のなかに歴史を秘めて佇む現在の姿に。
その面影は今なお林中に点在する礎石や出土する古瓦に偲ぶだけだと言います。
この苔むした林は歴史そのものを物語っているのですね。
私は境内をゆっくり歩き、先人達の息吹に触れた思いがしたものです。
残された講堂が今は本殿に。
ここにあの伎芸天がいらっしゃいます。
今は亡き女流俳人である細見綾子は、次のように伎芸天の句を詠んでいます。
女神仏に春剥落のつづきをり 細見綾子
かってこの句に触れて以来、いつか秋篠寺を訪れてみたいと思っていた私。
今回やっと念願が叶いました。
本堂では薬師如来を中心にして両脇に日光・月光両菩薩、
さらに小振りの12神将らその他が一列に並ぶなか、伎芸天立像はずっと左側に。
案内パンフレットを読むと、像高206センチメートル。
頭部乾漆天平時代、体部寄木鎌倉時代、極彩色立像とある。
今は時代とともにすっかり剥落したとはいえ、
そのたおやかで、優しく包み込むように見下ろす表情は慈愛に満ちた母そのもの。
ふっくらした体部も無駄がない。
薄暗いお堂のなかで微かなスポットライトをあび、
壁に映った影さえも優しいシルエットで癒されます。
伎芸天がこれほど素晴らしいとは~!
ああ、来て良かった~♪♪ お会い出来て良かった~♪♪
と、つくづく感じ入りました。
JR東海 「うましうるわし奈良」にて、伎芸天を美しく描いているサイトがあります。
どうぞご覧になって下さい。
なお秋篠寺境内に咲いていた万両?千両? とても綺麗でした。
そしてバス停にも花が~♪
雪が積もらない地をつくづく羨ましく感じた一瞬でした。